【有機栽培や無農薬栽培は安心安全で慣行栽培野菜は危険なの?】三重県四日市市の野菜農家が考える「僕が考えている農業」

みなさん、こんにちは。

三重県四日市市は上海老町という町で野菜農家(茄子・小松菜)をしているナスケンと申します。

今年で新規就農して5年目です。

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今日のブログ、当初の予定では「有機栽培と慣行栽培について」というテーマで書くつもりでいました。

が、そこを語る前にそもそも僕自身はどのような想い・考えで野菜と向き合っているのかを述べる必要があると感じたのでまずはその部分についてブログにしていきます。

僕の考える農業は

僕は就農してから野菜を栽培する上で必要最低限の化学合成農薬(以下「農薬)」や化学肥料(窒素)を使用しています。

出来ることなら使用せずに栽培したいです。この想いは就農する前から持っています。そして今でもその想いは変わりません。

主な販売先は地元スーパーの直売コーナーです。収穫した野菜を袋に入れて売り場に陳列します。

当たり前ですが、袋詰めした野菜から「虫」(この場合は害虫)が出てきたらそれはそれは大問題です。

この場合「異物」になるので、いわゆる「異物混入」という訳です。

野菜に限らずですが一般的な食品であれば「異物混入」は大問題です。対象商品の回収はもちろん、営業停止、最悪倒産…というリスクさえある程の問題です。

多様性を大切にしたい

このリスクを回避するために僕は農薬を使用します。

ただ農薬にも成分によっては環境に強い影響を残すと言われているものもあります。

その代表格が「ネオニコチノイド」という成分が使われている農薬です。

ネオニコチノイドneonicotinoid)は、クロロニコチニル系殺虫剤の総称。ニコチン様物質を意味し、イミダクロプリド、アセタミプリド、ジノテフランなどが該当する。

現在、農薬として世界100カ国以上で販売されている。植物体への浸透移行性があり残効が長い利点があり、殺虫剤の散布回数を減らせるため、世界各国において最も主流の殺虫剤として用いられて、1990年頃から使用が急増した。その後、世界各地でミツバチ大量死が多発し、膨大な研究が行われた結果、ネオニコチノイドが主原因と科学的に判明した。

EUでは規制が進み、2018年、EUは登録ネオニコチノイド主要5種の内3種を原則使用禁止、フランスは主要5種全てを禁止した。一方、日本では農薬残留基準を大幅に緩和している。

引用元:Wikipedia

世の中の作物のほとんどがミツバチなどによる「受粉」を頼りにしています。

ですがこの「ネオニコチノイド」を含む農薬はこのミツバチなどの活動に悪影響を及ぼしている、と言われているのです。

実際に農薬を使う際にミツバチなどに対する「影響日数」が記してあるものがあります。

中には30日以上影響がある農薬もあります。

ここでいう「影響」というのは「残留性」です。

「その農薬を散布するとミツバチなどの活動に散布後◯◯日影響があります」という解釈です。

この情報が農業を初めて日々勉強する中で学んで、これから農業で生計を立てようとしている僕にとっては見て見ぬ振りが出来ないものでした。

ただ農薬とは国の認可を受けて農薬メーカーが販売しているものです。

「農薬は悪だ!」みたいに頭ごなしに否定をするのは違いますよね。

僕はミツバチなどへの影響面を配慮してせめて僕が手掛ける作物ではこういった農薬を使わないようにしています。

「人間だけ良ければそれでいい」

誰もそんなこと考えてないと願いたいのですが、農業をやる上で大切にしている考えがあります。

「多様性を保つ」

自然のメカニズムの中で「太陽の光で光合成して、雨が降って水をもらう。寒さに当たって美味しくなる」などなど。

多様性の中で生きているのは何も野菜だけではありません。

先に登場したミツバチたちも、土の中にいる微生物たちも、野菜を食べようとする虫たちも。その虫を狙って来る虫も。

野菜を生産している農家としてその多様性の中でなるべく環境に負担の少ない農薬を使うようにしています。

基本的に僕が野菜に使用する農薬は先に説明した、ミツバチに影響の少ない(0〜1日)農薬を使用しています。

そして農薬には「使用期日」や「使用量」などの情報が記載されています。

いわゆる「収穫する何日前までなら使用出来ますよ」「この野菜にはこの農薬は使用出来ますよ」という表記が農薬のラベルに記載されています。

そのラベルがこちら↓

ここでも僕は「前日使用」が可能な農薬を使用します。

こういった方法は「IPM(総合的病害虫管理)」を参考にしています。

農林水産省がIPMについて詳しく(詳しすぎる)説明してくれています。

そのサイトはこちらから→「総合病害虫・雑草管理(IPM)実践指針について」

僕がやっていること

何回も言いますが僕は「なるべく農薬を使わなくていいように」作物が健康に育つ為のサポートをしています。

①土壌分析

それは土の中を分析して(土壌分析)、足りてない栄養分を施用します。だから足りている栄養分は入れません。

栄養分でも比較的知られている「窒素」「リン酸」「加里」という多量要素以外にも「カルシウム」「マグネシウム」も必要量施用します。

そしてたくさんは必要ありませんが「微量要素」である「鉄」や「マンガン」なんかも必要量を施用します。

そうやって土の中を勘だけではなくて科学の力で数値化して、その数値を情報として蓄積して栽培に生かしていくのです。

②ビニールハウス内では単一の作物だけを作らない

今現在のマルホ農園のハウス内の様子です。

多分、このようなやり方を見られた同じ農家の方からお叱りを受けそうな気さえします(笑)

「谷下」というハウス内では何も作らない場所があるんですが(何かしろ有効活用したくて)、アレッタというブロッコリーとケールを掛け合わせた茎ブロッコリーを作っています。

僕は就農してからずっとこのやり方で何かしら作っています。

それは「1つの作物よりもいくつかの作物を作った方がいろんな虫がくるから」という理由から(理由になってないかw)。

現れる虫が全て野菜を加害する、いわゆる「害虫」ではありません。

害虫を捕食してくれる「益虫」という虫もたくさんいます。

ナスを例えに出すとナスに付く「アブラムシ」は害虫です。そのアブラムシを捕食してくれるのは「てんとう虫」です。この場合益虫はてんとう虫なんですね。

むやみやたらに農薬を使用すると害虫だけじゃなくて、この「益虫」をも農薬の餌食になってしまう場合があるのです。

その益虫の住処になるようにハウス内には複数の野菜を栽培するようにしています。

それに加えてそれらの作物を「囮(おとり)」にする場合もあります。

例えば「麦」なんかがいい例です。

麦にはよくアブラムシが付きます。あえて麦に誘き寄せてナスに行かないように囮にしているんです。

こんな使い方もあるんですね。

ナスにアブラムシが付く前に麦に付いたりしているので消毒するタイミングを麦を見ながら判断したりしています。

適切に使用していれば農薬は安全である】

僕はそう考えています。

ただそれで「安心」しない方がいるにもまた事実。

安全が「客観的」であれば、安心は「主観的」。どちらが正しくてどちらが間違いである…そういう訳ではなく別々の概念です。

そもそも国の基準を満たして認可を受けて販売しているのが農薬。

ただ例えばですが、先に記述した「散布してから収穫可能までの日数」を守らずに収穫出荷していたはそれは間違いなく危険ですし、あるまじき行為です(ていうか普通にダメです)。

使い方を適切に守った上で収穫、出荷すれば安全である訳です。

ただ「多様性を保つ」という観点から考えれば、農薬を散布することによってある特定の虫を死滅させるので多様性は保っていません。

その点での影響を最小限に留めたい。だからやみくもに使用することはしていません。

消費者のみなさんが求めているもの

じゃあだからといって虫が食べた穴まみれの野菜は消費者の方は好んで買ったりしませんよね。

アブラムシでベトベトになった野菜を誰が買いますか?

高度経済成長の時代の食料需給に対応するために大量生産が求められてきました。

なおかつ日本の社会では「綺麗で虫食いなど一切ない野菜」が求められてきたのです。

消費者のみなさんがそういう農産物を選んできたんです。

仮にも今後、消費者の方の大多数が農薬を使わない「無農薬野菜」や「有機栽培野菜」を求めるようになれば我々農家側もその意向に沿うようになっていくと思います。

トマトなんかもいい例ですよね。

「糖度◯◯度!」「あま〜いトマトですよ!」

僕が出荷しているスーパーのトマト売り場にはこんな謳い文句のポップが置かれています。

買うのはお客さんなので「何を求めているか」が重要視されます。

高糖度トマトが求められているからその求めに応えるために農家がそういったものを栽培する訳です。

どれだけ高品質で高栄養価な農産物を生産、栽培しても商売として成り立たなければ生業は続きません。

消費者の方が求めているものが農産物ではなくて「生産者」に向けば、つまりその生産者のファンで居てくれたら、何を作っても売れるでしょうね。

「誰が作るか」

これってめちゃ大切ですよね。消費者の方に「ナスケン」が求められるように今後も活動や発信をどんどんやっていきます!

最後に

有機栽培についても、慣行栽培についても事細かに話す前に終わりを迎えてしまいしました。笑

僕が知っているだけで「無農薬栽培」「有機栽培」「慣行栽培」「減農薬栽培」などたくさんの栽培方法があります(多分もっとある)。

「農薬は体に悪いから無農薬栽培のもののが良い」

と言って販売しているご近所さんが居ます。公的な認証などは取得していません。あくまで自己申告です。

そうやって聞くと聞こえはいいけど、「有機栽培」や「無農薬栽培」の野菜の方が高く売れるからやる!という考え方の方で「目的」としてそれらの栽培方法を選んでいますよね。

僕の友人は有機JAS認証を取得して「有機農産物」として野菜を出荷していますが、その友人は「有機栽培で美味しくていいものをたくさん収穫したい!」や「持続可能な農業を!」と言って有機栽培をしています。

この友人の場合は手段として有機栽培を選んでいるのです。

前者のご近所さんと有機JAS認証を取得している友人とでは同じ「有機栽培」だったとしても、プロセスも意味合いも全くもって変わってくるのです。

お客さんであるみなさんも是非「誰から買うか」を意識して頂けると嬉しいです。

有機栽培、無農薬栽培をしている人たちからすれば慣行栽培をしている農家は「悪だ!」といって頭ごなしに否定してくる方がまだまだ居るように感じます。

そしてそういう人に限って更に拍車を掛けたように「農薬や化学肥料は体に悪いから有機野菜や無農薬野菜を食べなさい」と言います。

そう言っているあなたに言いたい。

「いつまでも農業界全体の足を引っ張ってないでどうやったらお互いよりよく農業が出来るかを考えましょう」

って。

国土も狭い、海に囲まれた日本ですが、豊富な水や四季折々の季節がある。

そして先人から当たり前のように有機物を田畑にすき込んで(戻して)きました。

この行為、行動がが今もなお「持続可能な野菜作り」につながっている訳です。

今こうして土作り、野菜作りが出来ている事は当たり前の事ではなく先人の方達のおかげです。

ただそうは言っているものの現代の子供達はどんどん野菜を知る機会や触れ合う場所が少なくなってそれが結果として野菜離れに拍車がかかっている。

農業界全体で取り組んでいかなきゃいけない問題でしょ。

そんな事を僕は考えいます。

長くなりましたが僕はこういった想いを持って日々野菜と向き合い、取り組んでいます。

1人でも多くの消費者の方、同じ農業に携わっている方に読んでいただけたら嬉しいです。

どうぞこれからも宜しくお願いします。

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